『A Human/第二話:Calling』

『A Human/第一話:Falling』の続きです。


<概要>

 裏の世界に戻ったPC1達。
 しばし裏の世界で暮らしていたが、ある日突然、PC1が持っていた携帯電話が一瞬だけ復活する。
 そこに録音されていた音声は、PC1にとって大切な人の、PC1の帰りを望んでいる、心配している声だった。
 と、裏の世界の大規模撤去を、表の世界の人々が敢行し始める。
 PC1は決断せねばならない。毒虫として裏の世界に逃げるか、人間として表の世界に立ち向かうのか。
 決断によってエンディングは分岐する。


<オープニング>

 あれから、裏の世界で暮らしているPC1とその仲間達。
 裏でどういう生活をしているのか一通りRPしてもらう。

 と、その時。PC1の壊れたケータイの画面が灯り、一瞬だけ復活する。
 壊れたケータイから録音メッセージが再生される。
「もしもし、(PC1)――」
 それはPC1を呼ぶ声。PC1はその声を酷く懐かしく感じ――だが次の瞬間、音を食う怪異にそれを食われてしまう。
 音を食う怪異を追いかけて捕まえれば、その音を取り戻せる。
 あの声はPC1にとってとても大切なものだと、PC1は実感している。
 
 という訳で怪異を追い始めたらシーンエンド。

※音を食う怪異:外見自由。例:空飛ぶ魚のような外見。



<ミドル>

▼シーン1〜2
 音を食う怪異の追跡となる。
 裏の世界のイベント表を二回ほど振る。


▼シーン3
 音を食う怪異を発見、とっ捕まえなくては。

判定者:全員(一人でも成功すればクリア)
目標値:クレイジー判定3以下orバイオレンス判定4以上orパラノーマル4以上
失敗:全員ヤルキを1減らした上で成功するまで再チャレンジ

成功:
 音を食う怪異のお腹の中から音を吐き出させる。
 音が再生される。

「(PC1)、どこにいるの? ずっと連絡がつかなくて…… なにかあったの……?」
「よう、元気か? 最近……調子はどうだ。また一緒に、どっか遊びに行こうぜ。約束な。返事待ってるからさ……」
「お願いです、帰ってきて(PC1)さん……あなたがいないと、とても寂しい……」

 それらはPC1にとって大切な人――家族や友人の、PC1を案ずる、PC1の帰還を望む人々の声だった。
 PC1は彼らの記憶を思い出す。
 大切な人の思い出、それに伴う幸せで楽しい思い出。日常の他愛もない、何気ない幸せ。
 表の世界は確かに、『嫌な場所』かもしれない。けれど『嫌なことしかない場所』ではない。
 表の世界にはPC1にとっての『敵』がたくさんいるかもしれない。けれど『味方』がゼロというわけではない。
 そして、その『味方』達は、PC1が表の世界に帰ってくることを心から望んでいる。
 彼らはPC1がいきなりいなくなって、きっと悲しんでいる。表の世界は嫌なこともあった、でも確かに大切なものがそこにある。

 一通りリアクションRPをして貰ったところで、音を食う怪奇が更に別の音を吐き出した。テレビから流れたらしいニュースの音だ。
 それは、裏の世界のあるこの場所を大規模撤去し、更地にし、ニュータウンを作るという内容だった。
 表の世界からすれば、裏の世界のあるここは荒れ果てた廃墟やらがある寂れた場所。土地の無駄遣い。それらを価値のあるものに建て直すのは、まぁ、当然の考えとも言えるだろう。
 そして裏の世界やそこに怪奇的な住人がいることなど、そんなフォークロアなど、表の世界の人々は知らないのだ。

 裏の世界にいる時間が長い者ならば、こんなことを知っていてもよしとする。
 ほとんどの表の世界の人間は裏の世界のことを知らない。だが、一部の者は知っている。
 そして大抵の場合、こうした大規模撤去の際には、そういう事情を知っている特殊部隊が派遣され、住人を追い出すのだ。
(追い出す=殺害ではない。ちょっと武力をちらつかせて逃げさせるのだ)
 表の世界の人間からしたら、裏の世界の人々はただの不法住居者なのである。
裏の人「勝手な真似を」
表の人「勝手に住みついてるのはお前らじゃねーか」

 そうしていると、何か音が聞こえてくる。それはヘリコプターの音だ。
 特殊部隊の者が次々と投下されていく。
 大規模撤去が始ろうとしていた。



<クライマックス>

 大規模撤去が始まったばかりの今なら、厄介ごとにならずにすぐ裏の世界から出て、表の世界に戻ることができる。
 PC1の決断の時だ。

 毒虫のその姿でも、希望を信じて人間の心を持ち、君を待つ『味方』のもとに帰るか。
 毒虫として、表の全てに別れを告げ、これからずっと裏の世界で生きていくのか。


>人間として表の世界で生きる
 記憶が全て戻り、人間の姿に戻る。

>毒虫として裏の世界で生きる
 そのまま以下の描写へ。

 決断をした後、一際大きなものがヘリから投下された。
 投下されたのはPC達のすぐ近く。それは、巨大なロボットだった。

 戦闘となる。


【大撤去兵器】
ヤルキ:25
クレイジー :-3
バイオレンス:4
パラノーマル:-3

特殊:
・アイテム:【大装甲】
 受けるダメージ量を1減らせる。この効果は1シナリオで三回まで使用できる。

・スキル:【装甲破損、弱点露出】
 常駐。【大装甲】の使用回数が0になった時に発動。受けるダメージが常に1増える。

・スキル:【薙ぎ払いレーザー光線】
 戦場にいるPC全員へバイオレンスによる攻撃を行う。反撃は通常通り可能。一人に対して一回ずつダイスを振るのではなく、一回振ったダイスを共有の反撃の目標値として扱うこと。
 戦闘における「フェーズ3」のGMダイスロールにて「ダイスロールの結果の数値が上回った方が勝利」となった場合、このスキルで与えるダメージは+1される。このGMダイスロールには、攻撃対象者全員がキアイによる出目補正をかけることができる。

解説:
 裏の世界を更地に変えるために作られたロボット兵器。
 このエネミーは、戦闘において、自分のターンではバイオレンスでしか攻撃ができない。
 戦闘では、ランダムで選んだPCへの通常攻撃と【薙ぎ払いレーザー光線】を交互に使用すること。

 大撤去兵器のヤルキが0になるか、PC達が全滅すればエンディングへ。



<エンディング>

▼人間として表の世界で生きる

▽PC達が全滅した場合
 大撤去兵器はそのまま別の場所へ飛び去って行く。
 記憶が戻り、人間の姿に戻ったPC1。
 ボコボコにされたけど、この混乱に乗じて裏の世界から脱出できる。
 特殊部隊に見つからないよう、隠れながら狭い路地裏を抜けて。
 そしてPC1は仲間と別れ、表の世界の仲間の下へと帰るのだ。
 人間としてもう一度生きるために。
 自分は醜い毒虫ではない。人間なのだ。醜くても、人間だったのだ――。
 シナリオエンド。

▽大撤去兵器のヤルキが0になった場合
 大撤去兵器は破壊される。
 作戦の要であったそれが破壊されたことで、大規模撤去を行おうとしていた特殊部隊が撤退していく。
 記憶が戻り、人間の姿に戻ったPC1。
 静けさを取り戻した裏の世界から、ゆっくり去ることができる。
 薄暗い、湿った狭い路地裏を抜けて。
 そしてPC1は仲間と別れ、表の世界の仲間の下へと帰るのだ。
 人間としてもう一度生きるために。
 自分は醜い毒虫ではない。人間なのだ。醜くても、人間だったのだ――。
 シナリオエンド。


▼毒虫として裏の世界で生きる

▽PC達が全滅した場合
 大撤去兵器はそのまま別の場所へ飛び去って行く。
 ボコボコにされたけど、この混乱に乗じて『ここの』裏の世界から脱出できる。
 特殊部隊に見つからないよう、隠れながら狭い路地裏を抜けて。
 そしてPC1は仲間と共に、別の裏の世界へ向かうのだ。
 裏の世界の住人として、これからも生きていくために。
 毒虫でも構わない。自分は自分だ。自分として、生きて死ぬのだ。
 シナリオエンド。

▽大撤去兵器のヤルキが0になった場合
 大撤去兵器は破壊される。
 作戦の要であったそれが破壊されたことで、大規模撤去を行おうとしていた特殊部隊が撤退していく。
 静けさを取り戻した裏の世界。
 そしてPC1は仲間と共に、自分達のねぐらへと帰るのだ。
 ここが本当の居場所。裏の世界の住人として、これからも生きていくために。
 毒虫でも構わない。自分は自分だ。自分として、生きて死ぬのだ。
 シナリオエンド。