『A Human』
PC数:2〜5人
所要時間:1話ごとにオンセで3〜4時間程度
全二話のキャンペーンシナリオ。
ハンドアウト制。
<ハンドアウト>
1話2話共通ハンドアウト。
PC1:目覚めたら怪物だった人間
イキザマ:マナシキ
裏の世界に現れた記憶喪失の『元』人間。その外見は見るもおぞましい毒虫めいた怪物のそれとなっている。
表の世界から来たようだが……?
>特殊設定
キャラ初期作成時のアイテムはない。シナリオ開始時、PC1が持っているのは以下のアイテムのみ。
【携帯電話】クレジット:0(壊れた携帯電話。君の記憶を知る上で非常に大切なもの)
※キャラメイクの際に注意すること。
・子供過ぎる設定はNG。幼くても中学生以上。青年以上を推奨。
・必ず表の世界の人間であること。
・過去については不明であるとすること。
《GM向け情報》
元表の世界の人間。表の世界に嫌気がさしてビルから投身自殺を図った。
【携帯電話】について。破壊しようとするRPをした場合、「なんだか自分の魂ごと壊れてしまいそうな気がする」など描写を行い、破壊をできないものとすること。
他のPC:裏の世界の住人
イキザマ:自由
裏の世界の住人。それ以上でもそれ以下でもない。
継続キャラでもOK。
<キャンペーン概要>
裏の世界で目覚めるPC1。その姿は人間の形を保っていない、毒虫めいた奇怪な化物となっていた。
だが「自分は人間で、表の世界にいた」という確かな記憶がある。その手元には壊れた携帯電話。
それ以外の記憶は全くない。なぜ化物になって、こんなところにいるのか……困惑するPC1と遭遇する他PC。
表の世界に戻れば何か分かるかもしれない、と表の世界を目指すことにしたPC達。
途中で表の世界の人間の目撃情報も手に入れ、それが「ひょっとしたらPC1を探しに来た人間ではないか」と推察し遭遇を目指す。
だがその人間はただの肝試しに来た表の人間であり、彼らはPC1やPC達をおぞましいバケモノと罵る。
そして表の世界への境界線に到着するが、人々がPC1を見る目はバケモノや毒虫を見るようなそれであり……。
同時に記憶の一部を取り戻すPC1。
PC1は自殺をするためにビルから身を投げたことを思い出す。
意気消沈のまま、PC達は裏の世界に戻る。
裏の世界に戻ったPC1達。
しばし裏の世界で暮らしていたが、ある日突然、PC1が持っていた携帯電話が一瞬だけ復活する。
そこに録音されていた音声は、PC1にとって大切な人の、PC1の帰りを望んでいる、心配している声だった。
と、裏の世界の大規模撤去を、表の世界の人々が敢行し始める。
PC1は決断せねばならない。毒虫として裏の世界に逃げるか、人間として表の世界に立ち向かうのか。
決断によってエンディングは分岐する。
『A Human/第一話:Falling』
<シナリオ概要>
裏の世界で目覚めるPC1。その姿は人間の形を保っていない、毒虫めいた奇怪な化物となっていた。
だが「自分は人間で、表の世界にいた」という確かな記憶がある。その手元には壊れた携帯電話。
それ以外の記憶は全くない。なぜ化物になって、こんなところにいるのか……困惑するPC1と遭遇する他PC。
表の世界に戻れば何か分かるかもしれない、と表の世界を目指すことにしたPC達。
途中で表の世界の人間の目撃情報も手に入れ、それが「ひょっとしたらPC1を探しに来た人間ではないか」と推察し遭遇を目指す。
だがその人間はただの肝試しに来た表の人間であり、彼らはPC1やPC達をおぞましいバケモノと罵る。
そして表の世界への境界線に到着するが、人々がPC1を見る目はバケモノや毒虫を見るようなそれであり……。
同時に記憶の一部を取り戻すPC1。
PC1は自殺をするためにビルから身を投げたことを思い出す。
意気消沈のまま、PC達は裏の世界に戻る。
<オープニング>
ふと目を覚ますPC1。
そこは汚らしい、そして見知らぬ路地裏の、ゴミの山の中だった。
仰向けに見上げる視界には、うずたかくそびえるビルが見える。
なんだか自分の体に妙な心地を覚えるPC1。近くの汚れたバスタブに溜まった水を鏡代わりに覗き込むと、そこには毒虫めいた、もはや人間の形を保っていない奇怪な化物が映っていた……。
だが己は人間で、表の世界にいた記憶がある。手元には壊れた携帯電話がたった一つ。
それ以外の記憶は一切無い。なぜ化物になって、こんなところにいるのか……。
それになんだか体が痛い。よく分からないが、体を打ったような痛みだ。(骨折など酷い怪我ではない)
(周囲に何があるか見渡すなど宣言があれば、「ゴミやガラクタだらけである。例えば錆びたドラム缶とか、湿ったボロボロのベッドとか、ビニールに一杯詰まった良く分からないゴミだとか」と描写しよう。ベッド以外の描写は自由でいい。
というのも、PC1はビルから身投げした。このベッドに落ちて、奇跡的にも助かったのである)
一通りRPしてもらったところで他のPCがやって来る。
異形型のPCがいれば、「そのような異形は君にとって生まれて始めて目撃するモノだ」とPC1に伝えよう。
ひと段落したところで、GM宣言などで「表の世界から来たのであれば、表の世界に向かえば何か手がかりを掴めるかもしれない」とPC達に示唆(話し合いなどでそのように思った、などという誘導。もしくは通りすがりのNPCなどに発言させる)
PC達がその場を後にしたらシーンエンド。
<ミドルシーン>
▼シーン1〜3
PC達は表の世界を目指す。その道中を『裏の世界イベント表』を使用して描いていく。
▼シーン4
場所に関しては裏の世界のロケーション表などで決めると良い。
不思議なお店を発見する。なにか買い物をしていけと店主。
アイテム売買の後、店主から以下のセリフ。
「そういえばあっちで表の世界の人間を見たぞ」
「見たのさわりとさっきだからそう遠くには行ってないんじゃないかな」
「何かを探しているようだったぞ」
一同が店から出たらシーンエンド。
▼シーン5
迷路めいた路地裏を歩いていると、遠くの方で誰かの話し声と足音が聞こえる。
追いかけてみよう! ――だがそのためにはこの迷路を迷わず進む必要がある。
判定対象:全員。(一人でも成功すればクリア)
目標:バイオレンス判定で3以下。
成功:迷路を抜け、声の先に先回ることができた。
失敗:迷いに迷った挙句に、なんとか声のする方向だけは見失わずに済んだ……。ヤルキ-1。
判定が終わればクライマックスへ。
<クライマックス>
声の方向に辿り着いたPC達。
そこには、四人の人間がいた。
「えー、このへん出るってマジー?」
「もう帰ろうよ〜なんか変な雰囲気だし……アタシ霊感あるから、マジで!」
「ビビってんの?www ウケルwwww」
「お〜〜〜いwww誰かいませんか〜〜〜www」
どうやら、彼らはただの肝試しをしにきただけの人間のようだ。
彼らがPC達に気付く。
異形系PC、特にPC1を見て悲鳴を上げる人間達。
「ぎゃーーーー! バケモノーーーー!!」
「キモッ! うわ、こっちくんな!!」
半狂乱の彼らが、PC達を追い払おうと襲い掛かってきた!
戦闘突入。
【人間】×4
ヤルキ:10
クレイジー :-2
バイオレンス:0
パラノーマル:-2
特殊:
・スキル【ショック耐性・紙】
このエネミーのヤルキが半分以下になった時、目標値2を上回るクレイジー判定。
失敗した場合、そのエネミーのヤルキは0となる。
・解説
二人のヤルキが0になった時点で、残りの人間は逃走して戦闘終了となる。
戦闘の合間、ウェーイ系大学生のような、ムカつく系のリア充めいたRPを心がけてGMは人間を操作しよう。
セリフ例
「キモいんですけど! バケモノ! 死ね!」
「はぁ!? うっざ! キッモ!」
「(我関せずの顔で笑いながら撮影したり、SNSに呟きを投稿したりしている)」
PC達全員のヤルキが0になった場合、人間達は逃走して戦闘終了。
戦闘が終了したらエンディングへ。
<エンディング>
がむしゃらに人間達と応戦している間に、PC達は表の世界との境界にまで来ていたようだ。
そこは路地裏の終わり。人通りが多い大通りに続く場所。裏の世界から表の世界に続く場所。
明るく賑やかな『向こう側』から、暗くて湿った『こっち側』を見ているたくさんの人々がPC達の視界に映る。
誰も彼も怪訝そうな顔、嫌そうな顔、汚いものを見る顔。けれど関わってはこない。関わることすら嫌だと言わんばかりで、目が合う寸前に彼らの目は逸らされる。
表の世界の人間は、異端を嫌う。特殊を軽蔑する。万人に馴染むスキルを持ち合わせていない存在など、『人間が出来ていない』のだから。
いくつもの目線が、PC達に束になって突き刺さっていた。
PC1が、本来ならば表の世界の普通の人間だと信じている眼差しは一つも無い。
声を張り上げる、近寄るなどしても、嫌そうに避けられるだけ。あるいは悲鳴を上げられたり。「警察を呼びますよ!」など。
たとえ中身が人間だろうと、心は誰にも見えないのだ。
人間は外見ではなく中身などと道徳があるが、実際にそれを実行できている人間が一体この世に居るのだろうか。少なくともここにはいないらしい。
誰もがPC1をバケモノや毒虫を見る目で見ていた。
その瞬間、PC1の記憶の一部がフラッシュバックする。
PC1は思い出す。
PC1は自殺をする為に、ビルから身を投げたのだ。
そして何の偶然か、落下した場所は裏の世界。奇跡的にあのゴミの山に落ちて死ぬことはなかったらしい。
(もし序盤で「周囲を見渡す」宣言でベッドの存在を描写しているなら、「奇跡的にもアレで助かったのかもしれない」みたいな描写を入れてもOK)
なぜ自殺しようと思ったのか――詳しいことまで思い出せないが、嫌なことがあった。もうなにもかもが嫌になったのだ。苦痛が終わらなくて、楽になりたかった。消えてしまいたかった。もうどうにも手段が思いつかなかったのだ、死以外には。
あっちに居場所はない、とPC1は感じるだろう。
途方もなく、『向こう側』とPC達の住む世界は違っていた。
裏に戻った方がいいだろう、とGMはPC達へ促すこと。
暗く汚く湿った路地裏へPC達が戻れば、シナリオエンド。
第二話に続く。