『文明開化の音がする』


※細部の描写についてはGMの好きなように描写してよい。
※クーラーをストーブにするなど、描写を変えれば冬のシナリオにもできる。


PC数:2〜5人
所要時間:オンセで3〜4時間程度


<シナリオ概要>
 続く猛暑日に裏世界もえらいことになっていた。
 暑さに耐えかねたPC達は涼を求めて裏の世界をさ迷い歩く。
 その中で、とある裏の世界の住人が「巨大なクーラーを作って裏の世界に涼しさをもたらす」と言い始めた。
 活気的な宣言(?)に浮き立つ裏の世界の住人達。PC達も巨大クーラー作成の手伝いをすることに。
 というわけでパーツを集めたりとしていたPC達であったが、最終段階においてクーラーが暴走。
 やむなくクーラーを破壊し、「次は扇風機を作ろう……」というオチで物語りは幕を下ろす。


<オープニング>
 真夏、猛暑日。
 今年も「去年より暑い」なんて報道が世間に流れている。
 勿論、裏の世界も正気を溶かすような暑さに包まれていた。
 PCに暑さに苦しむRPをしてもらい、ひと段落したら「涼しい場所を探しに行こう」と描写しシーンエンド。


<ミドルシーン>

▼シーン1〜3
 イベント表を本能の赴くままにまわすこと。
 ただし猛暑日なので、しつこいぐらい暑さについて描写すること。とりあえず語尾に「なおめちゃくちゃ暑い」と描写する感じでOK。
 なお、暑さのせいで失敗系のペナルティには「暑さのせいで更にヤルキ-1」としてもよい。


▼シーン4
 なんとか涼める場所に辿り着いたPC達。
 雪女やジャックフロストやファーザーフロストやスネグラーチカや……まぁとにかく色んな冬や氷の怪異が暑さで溶けないようにと身を寄せ合っている地下駐車場のフロアだ。
 そこは物凄く涼しい。だが考えることは皆一緒のようで、そこにはPC達だけでなく多くの裏の住人達がいた。
 しかもやって来る者は更に増えている。このままだとこのフロアがパンクするし、なにより人々でひしめきすぎて暑くなり始めている。
 と、その時。
 技術者のヨステがこう声を張り上げた。
「裏の世界を丸ごと涼しくする巨大なクーラーを作る!!!」
「みんな! 手伝ってくれ! 我々のユートピアのために!」
※GM情報:彼はいたってマジメだが、暑さでちょっと頭がパァになっているのだ。
「皆で協力してクーラーを作ろう! 皆が使える、皆が涼しい最高の逸品を!」
 その言葉に皆がウォオオオッと盛り上がっている。
「そこの君はこのパーツを……そこの君達はこれを集めてきてくれ!」と技術者がメモを渡してくる。
 メモには以下のことが書いてある。

・ガラクタ山からパーツを集めてきてくれ(ガラクタ山の場所、集めてくるパーツについての情報も書かれている)
・表の世界から、新鮮な車を持ってきてくれ
・物に憑依できる、氷属性のオバケをつれてきてくれ

 PC達がその場を後にしたらシーンエンド。


▼シーン5
 出発した場所から一番近いのはガラクタ山なので、まずはガラクタ山へ。
 ガラクタ山とは、ガラクタや廃棄物がうずたかく積まれた場所である。
 捨てられたモノはここにやってくる……という都市伝説がある場所だ。
 ここで指定されたパーツを探そう。とはいえここは不思議な場所、常識的な考え方では見つかるものも見つけられない。

 判定者:全員(PCの半数以上が成功すればクリア)
 目標値:クレイジー判定4以上
 成功:パーツを発見! 目標値より3以上上回れたPCはクレジットも発見できる。
 失敗:駄目だ、見つからない……暑いだけですごくしんどい。全員ヤルキ-1。


▼シーン6
 新鮮な車を確保するために表の世界へ赴くPC達。
 表の世界も裏の世界と変わらない猛暑。陽炎が真っ黒なアスファルトからモワモワと立ち上っている……。
 そんなPC達の前をオシャレなスポーツカーが通り過ぎる。車内はクーラーが効いているのだろう、運転手らしきイケイケのリア充は暑さも厭わず助手席の彼女とイチャコラしている。
 よし殺そう。

 判定者:全員(PCの半数以上が成功すればクリア)
 目標値:バイオレンス判定2以上
 成功:スポーツカーに追いつき飛びかかり車とリア充をボコボコにしてスッキリ。ついでに車もゲット。ヤルキとキアイ1回復。
 失敗:逃げられてしまった。ムカツク!全員ヤルキ-1。


▼シーン7
 裏の世界に戻るPC達。
 と、その道中に氷属性のオバケが通りかかる。モノに憑依で切るタイプのオバケだ。
 オバケを説得して付いてきてもらわなければ。

 判定者:全員(一人でも成功すればOK)
 目標値:パラノーマル判定4以上
 成功:オバケは君達についていくことを了承した。目標値より3以上上回れた場合は、上機嫌になったオバケに涼しい吐息を吹きかけてもらう。全員ヤルキ+1。
 失敗:「何だお前ら鬱陶しい!」オバケにブリザードを叩きつけられた。全員ヤルキ-1。



<クライマックス>
 広場に出ると、巨大クーラー作成のために人々が集まっていた。
 あとはPC達が集めてきたパーツを組み合わせて、それから、氷属性のオバケに憑依してもらって……

(GM情報:今までの判定に失敗してパーツが揃っていない場合は、他の住人が持ってきたものでなんとか代わりにした感じで)

「よし、完成だー!」
「それじゃあ早速起動させるぞ!」
 起動する巨大クーラー。涼しい風が裏の世界を包む――。
 だがなんだか様子がおかしい。
 ガタガタ音が鳴っているし、涼しいを通り越して寒すぎるし……
憑依してるオバケ「ひえええ! なんかヤバイよー! 制御できない!」
 そう、クーラーが暴走したのだ!
オバケ「助けてくれーーーーー!!!」

 戦闘となる。

【暴走マッドクーラー】
ヤルキ:15
クレイジー :3
バイオレンス:2
パラノーマル:3
特殊:
・スキル【エターナルフォースブリザード】
 自分の手番を消費して使用。ヤルキを1d6消費。使用したらこのスキル使用者は行動済みとなる。対象は戦闘を行っている相手全員に対して。目標値3以上のパラノーマル判定を行わせる。失敗した対象は、次のターンは行動不能。このスキルに対し反撃は出来ない。
・アイテム【大装甲】
 与えられるダメージを常に-1。

・解説
 暴走した巨大クーラー。猛烈な冷気を振りまいている。
 戦闘では、エターナルフォースブリザードとパラノーマルによる攻撃を交互に行おう。

 暴走マッドクーラーのヤルキが0になるか、PCが全滅すればエンディングへ。


<エンディング>

>暴走マッドクーラーのヤルキを0にした場合
 クーラーがガラガラと瓦解する。憑依解除できたオバケが「こわかったよおおおお」と泣いている。

>PCが全滅
 クーラーは彼方へと去ってゆく。
「ひええええええええええええ」
 オバケの悲鳴が木霊した……。

(ここから共通描写)

「次は扇風機にしよう……」と呟く技術者なのであった。
 明日の予報も猛暑である……。