『Puppy,Doggie,Baby』
※情景描写は演出はあえて控えめに記載している。GMは好きなようにハチャメチャな演出をすること。
PC数:2〜5人
所要時間:オンセで4〜5時間程度
<シナリオ概要>
PC達は衰弱した子犬を見つける。
子犬を救うために手を尽くすPC達だが、子犬は重い病気の末期であり、死んでしまう。
子犬を埋葬するPC達であるが、その直後に次々と奇妙なことがおこる。
その元を辿っていくと、異形となって復活した子犬が。
子犬は元気な体を手に入れたことが嬉しいのかハシャギ回っていたのだが、その異形の体で目一杯遊ぶことは災害めいていたのである。
なんとか子犬がクタクタになるまで遊ぶPC達。
満足した子犬は成仏し、物語は幕を閉じる。
<オープニング>
ここは地球のとある場所、裏の世界。
裏の世界の住人であるPC達は銘々の日常を送っている
ダイスで決めたPCの目の前に、一匹の子犬が現れる。
子犬はかなり衰弱している。
周囲に母犬などはいないようだ。
一通り子犬に対してリアクションしたらシーンエンド。
<ミドルシーン>
▼シーン1
子犬はお腹を空かせているようだ。
弱った子犬でも食べられるような何かを見つけられればいいのだが……。ちょっとその辺を探してみよう。
判定者:全員(一人でも成功すればクリア)
目標値:クレイジー判定3以下
成功:粉ミルクを発見!目標値より3以上下回れたPCはクレジットも発見できる。
失敗:中身が漏れているなんかの缶を発見。……くっさ!!! 全員ヤルキ-1。
全員失敗した場合は「失敗」のイベントのあと、なんとか粉ミルクも発見できる。
見つけた粉ミルクを上手く調理できるかな?
判定者:全員(一人でも成功すればクリア)
目標値:クレイジー判定3以下 or バイオレンス判定3以下 (ただし方法によってはどんな能力値判定でも構わない。魔法で作るならばパラノーマル3以上だし、パワーオブオパワーで作るならバイオレンス3以上だ)
成功:粉ミルクをちゃんと作れた!
失敗:……まぁ、飲めないことはないよね!
粉ミルクを与えると、子犬は少し元気になったようだ。
まだ『元気一杯』ではないものの、尻尾をパタパタして、君達にスリスリもふもふ甘えついてくるぞ。
一通りもふもふしたらシーンエンド。
▼シーン2
さて、子犬と戯れていた君達であるが。
けふけふと子犬が咳き込んでいる。
そのまま子犬は先ほどのミルクを吐き戻してしまう。だけでなく、吐いたそこには血が混じっていた。
子犬はそのままぐったりとうずくまってしまう。
と、そこへ通りすがりの裏世界の住人が通りかかる。
「おおう、どうした?」
「子犬? じゃあ犬の医者に連れてくといいだろな」
「腕の立つ獣医がいるんだ。……でもそいつは、あっちの――表の世界に出てすぐのとこの動物病院の、まぁ、完全な表の世界の人間なんだよ」
「お前らがその子犬をマジで助けたいなら、行ってみる価値はあるんじゃないか?」
PC達は裏の世界から表の世界へ行くこととなる。
表の世界では怪しまれてはいけない。なぜなら通報される危険性があるからだ。
なにかしら常識的に振舞うか、理知的に振舞うか、魔法か何かで誤魔化さなくてはならない。
判定者:全員
目標値:クレイジー判定3以下orバイオレンス判定3以下orパラノーマル判定4以上
成功:うまく表の世界で怪しまれずに振舞うことができた。
失敗:町ゆく人の冷たい眼差しや嘲笑が君の心に突き刺さる……。ヤルキ-2。
先ほどの裏の世界の住人が言っていた通りの場所に、動物病院はある。
幸い待合室には誰もいない。
衰弱した子犬を受付のナースに見せれば、奥から獣医の先生が顔を出す。
彼は表の世界の住人だが、裏の世界に理解がある人物だ。
獣医が子犬を視てくれる。
「……残念ながら、この子は重い病気だ。そして……もう、末期だ」
「つまり……もう助からない」
程なくして子犬の心電図が止まる。
「この子は幸せだったと思うよ、君達にここまで思われて」
「埋葬してあげるといい」
さぁ、もう表の世界に用事はない。
PC達は裏の世界に戻るといいだろう。
埋葬するなら、裏の世界にはちょうどいい墓場がある。どんな死者でも受け入れてくれる場所だ。
「死者かい」
墓守の裏の世界の住人がPC達に声をかける。
「墓はこっちだ、案内しよう」
PCが墓に行き子犬を埋葬すれば、もう時間はすっかり夜となっていた。流れ星が綺麗である。
「弔いには、冥界花を備えるといいよ。あっちの方にある。死者が喜ぶんだ」
PCが冥界花を採りにその場を後にすればシーンエンド。
GMシーンをはさむ。
満点の星空はいつしか流星群が行き交い始めていた。
すると、ひとすじ。夜空から星の光がそこに落ちてきて……。
▼シーン3
墓守が教えてくれた場所は、廃墟の中にある花畑。夜に青白く花が輝いている。
これらが全て冥界花だ。
PCは全員以下のアイテムをゲットできる。
アイテム:
【冥界花】
クレジット:0
食べた時に、目標値3以下のパラノーマル判定を行う。成功した場合、ヤルキ1d6回復。失敗すればヤルキ-2。
PC達が一通りRPをしたところで、遠くの方で『ぐしゃん!』と大きな音が聞こえるぞ。
PC達が音の方向へ向かうと、そこにはペッチャンコに潰れた廃車が。
更に、遠くの方で大きな音がする。
PC達が音の方へ向かえばシーンエンド。
▼シーン4
音のした場所は、どうやら裏の世界の食堂のようだ。
食堂の中からはてんやわんやの声が聞こえる。
PCが中に入ると、店内はメチャクチャに荒らされた後だった。
店主は狼狽しきっている。ちょっと落ち着いてもらおうか。
判定者:全員(一人でも成功すればクリア)
目標値:バイオレンス判定4以上orクレイジー判定4以上
成功:店長に精神分析! 店長は落ち着いてくれた。
失敗:店長に精神分析! 「うるせぇええ!!」なぜか逆ギレした店長に反撃を食らい、ヤルキ-2。
そんなこんなで落ち着いた店長はPC達に事情を教えてくれる。
「なにかが……何かがやってきて、駆け回っていったんだ!!」
そこへ、
「助けてくれー!」
と、裏の世界の住人であるがしゃどくろが大慌てで食堂に駆け込んでくる。
「バケモノに襲われたんだー!」
「あっちの方で襲われたァー!」
わたわたするがしゃどくろはとっても……犬臭かった。
がしゃどくろはバケモノについては「おそろしいバケモノだった!」としか答えない。多分直視できていないのだ。
PC達が食堂から出ればシーンエンド。
▼シーン5
がしゃどくろが指差した方向に向かったPC達。
辿り着いたのは、先ほどのお墓だった。
見やれば、なんと、あの子犬のお墓が荒らされている……というより埋葬されていたものが中から飛び出したような感じだ。
その周辺には、足跡がある。
なにかバケモノのような……歪で巨大な足跡だ。
この足跡を追跡してみよう。
判定者:全員(一人でも成功すればクリア)
目標値:パラノーマル判定4以上
成功:足跡と、そこから感じる異形オーラを辿ることができた! 目標値より3以上上回れたPCはクレジットも発見できる。
失敗:あっちこっち迷走するハメに……。ヤルキ-1。
判定が終わるとシーンエンド。
▼シーン6
足跡を辿れば、枯れた噴水が目印の広場に出た。
かくして足跡の主はそこにいた。
巨大な、クリーチャー。
だが不思議とソレからは敵意やそういったものを感じられない。
尻尾のような器官をぶんぶん振っているその様子からは、寧ろ好意のようなものを感じ取れた。
PC達はそのクリーチャーに既知感を覚える。
そう、あの子犬こそが、このクリーチャーの正体だ。
子犬は元気な体を手に入れたことが嬉しいのかハシャギ回っていたのだろう。
だがその異形の体で目一杯遊ぶことは災害めいていたのである。それが、先ほどの騒動の真相なのだろう。
判定者:全員(一人でも成功すればクリア)
目標値:パラノーマル判定4以上
成功:今夜は流れ星が見られる星空だった。流れ星には願いを叶える効果がある。それが子犬の、「遊びたい」という願いを叶えたのかもしれない。君はそう思った。
失敗:なんだかよくわからないけど、とりあえず霊として生き返った(?)のだなーとフンワリ思った。
判定が終わると、クリーチャー(子犬)が「あそんでー!」と元気いっぱいに飛びかかってきた!
<クライマックス>
子犬との戦闘(遊び。)
戦闘ルールを用いるが、内容としては『子犬がクタクタになるまで遊びつくす』である。
子犬の『ヤルキ』は『ゲンキ』として扱う。
攻撃:子犬と遊ぶ。攻撃が成功すれば子犬の『ゲンキ』を減らすことができる。
攻撃や反撃を食らう:子犬に「もっと遊んで!」とじゃれ倒されて疲れてしまう。
【ゴーストパピー】
ゲンキ:18
クレイジー :0
バイオレンス:2
パラノーマル:3
特殊:
・スキル【有り余る元気】
1ターンの間、ゲンキが一切減らなかった場合、次のターンの開始時にゲンキが1d6復する。
・スキル【くいしんぼ】
PCがヤルキ回復アイテムを使用したときに発動。回復アイテムを使用した対象とバイオレンスで判定を行い、対象の数値を上回った場合、その回復アイテムをゴーストパピーが使用できる。行動済みの時は使用できない。このスキルが成功した場合、ゴーストパピーは行動済みになる。アイテムを奪われたPCは行動済みにはならない。
・解説
超常的パワーで異形となった子犬の幽霊。
見た目はバケモノそのものだが、中身は純真な子犬。遊びたくて遊びたくてたまらないのだ。
ゴーストパピーのゲンキが0になるか、PCが全滅すればエンディングへ。
<エンディング>
ドシーンとその場に伏せる子犬。
くたくたになるまで遊びつくしたようだ。嬉しそうに尻尾を振っている。
「きゅーん」
満足げに子犬が鳴いた。そしてPC達の方に顔を寄せて、その顔をぺろりぺろりぺろり。
そして、子犬の体が透けていく。子犬が消えていく。
「わふ!」
最後に子犬は幸せそうにひとほえして……完全に消えてしまった。
成仏したのだと、PC達は理解できるだろう。
空はもう、朝を迎えていた……。